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近況2010/10/11

カリヨン(信州博)

またまたひさびさの更新です。心配してメールを下さった方もいますが元気に相変わらずの日々を送っております。

違うのは例年と違って途切れず仕事が入っていることでしょうか。去年の今頃はひまにまかせて台所のリフォームなんぞやっていたのですから。

それから現在無住の実家の老朽化がすすんで何らかの対策をとらなくてはならなくなりました。築67年、戦争末期に建てられたものですから、そんなによい造りでもないのですが、更地にして駐車場にするのもしのびなく何とか改修しようということで熊本に行ったりしています。

今月はじめには仕事で信州宮田村へ。二日目の午前中があいていたので松本の姪のアパートに投宿。近くの信州博(1993)の跡地を公園にした信州スカイパークに姪夫妻と出かけました。じつはここには信州博の折に工房時代に私が作ったカリヨンがあります。その原状も一度見ておきたかったのです。

定時に調律されたベルがメロディーを奏でるはずなので、しばらく園内を散策しながら時間を待つと、11時ちょうど「エーデルワイス」のメロディが流れました。ステンレスの構造に桧を組んだかなり無茶なつくりなのでどうなっているか心配だったのですが、ベルとその打鐘装置、制御装置はOK、桧はさすがにくたびれていてメインテナンスした方がよさそうです。

追記:実家を無住と書いたので「お母様は?」とのメールが。言葉足らずでした。母は畑のある熊本市郊外の家で元気に暮らしております。

古川泰龍師像2010/01/25

100116古川泰龍師像

シュバイツアー寺を開いた古川泰龍師の肖像。日本でも少ない乾漆の彫刻家宮越洋子さんに脱活乾漆の技法を手ほどきされて作った数少ない私の肖像作品。

脱活乾漆は唐招提寺の鑑真和上像や興福寺の阿修羅像など天平期の造像によく見られる技法で、粘土で荒く造った原形に漆を麻布などを芯に塗り重ね、漆が固まった後に粘土を抜くという方法である。下地から仕上げまで十数回塗り重ね、厚みは5,6ミリほどで粘土を抜くと非常に軽い。

その技法が必然的に細部にこだわらない大きな表現を生む。そのおかげかこの作品はみょうにほめられたことを思い出す。

像高 35cm 1977年作 生命山シュバイツアー寺に寄託

仕事2006/10/17

Flight Plan l

8月の末からひと月ほど仕事がなかった。ケセラセラの私も不安になってくるのだが、9月末からはコンスタントに仕事が続いている。この調子で年も越せればいいのだが、ひと月後は皆目わからないのが恐い。

昔、私の作品を買ってくれた人から錆が出てきたのでお化粧直しをと依頼がきた。鉄のベースにブロンズをはめ込んだレリーフ、「Flight Plan」という作品(前に紹介した作品とシリーズで作ったもの)。1980年神田のときわ画廊での初めての個展で発表した。

26歳の頃、ちょうど今の歳の半分だ。ただただがむしゃらだった。久しぶりに再会して感慨も深いがつくることのリアリティーに何も変わりがないことに驚く。今、糊口をしのぐための仕事はそれこそ表札、店舗の照明、什器、看板、お墓から彫刻まで依頼されればなんでもつくる。でもそれを求めてられているのなら何の苦もない。つくることに変わりはない。

なにか変わったのかと思うと、たぶん自分を表現することの最上の方法が彫刻だと思っていたのが、自分が生きていることが、生活していること作っていること、すべてが表現なのだと思えるようになったことだろうか。たぶん十代、二十代はそのがむしゃらと馬鹿さ加減が表現の原質なのだ。必要なのはそれを受け止める社会の許容量だ。それがだんだん小さくなっているような気がする。


おしらせ

前にもご案内した所沢の寶玉院というお寺で「妙音遊楽会」が開かれます。4月に行ったのですが想像以上に素敵な催し。そのときの様子は前に書きました

たまには古典芸能に親しむのもいいものです。心が洗われます。

※※※※※「妙音遊楽会」※※※※※

日時:11月3日(金・祝日)  午後1時~5時

   各講師が、趣向を凝らして日本音楽の粋をご紹介します。

雅楽:平安の響きを楽しむ    前宮内庁楽部主席楽長  岩波 滋

声明:千年の声―インド・中国・日本    真言声明家  新井弘順

平曲:語りで楽しむ平家物語「千手」~今様、朗詠、白拍子  平家詞曲相伝 新井泰子

能楽:能の中の武蔵房弁慶    観世流シテ方 足立禮子

能楽:世界一痛い楽器!?大鼓(オオツヅミ)を体験しよう  高安流大鼓方 佃良太郎

狂言:「せりふ」と「しぐさ」の対話劇    大蔵流狂言方 山本則俊

受講料:4,000円(小・中・高・大学生は2,000円)定員55名

会 場:  所沢市三ケ島3-1167 真言宗豊山派寶玉院

       tel 04-2948-3679 fax 04-2948-3789

交 通:  西武池袋線小手指駅南口下車

       西武バス1番乗り場 早稲田大学行

       「芸術総合高校」下車徒歩3分(100m戻り、左折50m)

残暑お見舞い申し上げます2006/08/29

ブレーメンの音楽隊 犬と鶏

残暑お見舞い申し上げます。

写真は、先週千葉のある施設に納めた彫刻。まだオープン前なので背景は工事中。子育てのための施設なので対象は幼児と主に母親、ブレーメンの音楽隊をモチーフにとの要望でつくったもの。この犬と鶏のむかいにロバと猫が鎮座まします。一部を鍛造した鉄の溶接による。

幼児にストレートに伝わるものと考えるとやはりこんな形になる。予算と鉄という素材の制約がよけいな表現を許さないので、プランニング、原形を考える段階ですべてが決まる。あとは場と人が育ててくれるものと思っている。

黒煙2005/07/21

Flight Plan h 1980

新聞に兵器に興味を持つこどもを心配する母親の投書があった。そういえば私もプラモデルが大好きでその大半は戦闘機や戦車だった。息子も一時期戦車のプラモデルを買ってきていた。あの何の生産性もないただ破壊と殺戮のためのマシンに心ひかれるのはなぜだろうか。その目的のためにつきつめた合理性と非日常が作り出す形。戦車などの攻撃と防御の関係を考えれば矛盾がキャタピラつけて走っているようなものなのに。こどもがそんなこと考えているわけはない、ただその力のムーブメントが自分の手の内にミニチュアといえどもあるというのがうれしいのだろう。

中学二年になる時、転校することになって荷物を整理するのに小学生からつくりためたプラモデルを裏庭で燃やした。戦闘機にはおしりに火をつけてブーンと飛行させながら火が回って持っていられなくなると地面に置いた戦車に落として、じゅうじゅうと音を立てて吹き上げる黒煙と鼻をつく匂いになんだかそれからの新しい生活への不安と変な悲しい気分になった。

黒煙というのは完全燃焼していないあかしであってだいたい事故現場や戦争の記録映像のなかにある。ちょうどベトナム戦争が激化していく頃だ。そこになにか不合理や矛盾を感じるのはたぶん自然のなりゆきだったと思う。こどもから喧嘩や暴力、あるいはその表現をただ排除しては、それを乗り越える契機も失うのではないだろうか。

写真は「Flight Plan」という1980年頃のブロンズの作品。この頃は溶解していく翼のような作品を続けて作っていた。